ソウルの居酒屋で捨てられた一枚の宝くじが、とある軍用車に貼りついて北朝鮮とにらみ合う38度線の韓国軍の監視所に運ばれた。偶然それを手にしたパク・チョヌ兵長(コ・ギョンピョ)は、抽選会のテレビ中継を見て気絶するほどの衝撃を受ける。そのくじがまさかの1等に当選したのだ!6億円という途方もない賞金にすっかり浮かれるチョヌだったが、監視塔での任務中、当たりくじが風に吹かれてふわりと舞い上がり、あれよという間に北朝鮮との軍事境界線を越えて行ってしまう。
深夜にこっそり非武装地帯の大草原で当たりくじを捜索していたチョヌの前に、リ・ヨンホ(イ・イギョン)という北の兵士が現れる。ヨンホこそ、くじの新たな拾い主だった。「それは俺のものだ。返せ!」。チョヌが血相を変えてそう訴えると、ヨンホは「紙切れの主人は、拾った人間に決まっている」と冷淡に言い放つ。3日後、同じ場所で再び対面したふたりは互いの主張をぶつけ合うが、当然のように物別れとなった。
★ ★ ★
除隊を間近に控えたチョヌは、根っからの軍人体質の上官、カン小哨長(ウム・ムンソク)と年下の鈍くさいマンチョル上等兵(クァク・ドンヨン)を、また家族思いのヨンホはコワモテの政治指導員スンイル(イ・スンウォン)と韓国通のチョルジン上級兵士(キム・ミンホ)をそれぞれ巻き込み、くじの所有権をめぐる交渉は3対3のチーム戦へと発展していった。ある夜、非武装地帯の森の奥にある共同給水区域(JSA)に集まった6人は、まるで決闘に臨むかのようにテーブルを挟んで対峙する。
何としても当たりくじを取り戻したい南と、自力ではくじを現金化できない北。常日頃から国家同士がいがみ合っている両陣営は激しい押し問答を繰り返し、一触即発の空気が流れるが、そこにふらりとやってきた韓国軍の補給官が意外な仲裁案を提示する。それは北が渡した当たりくじを、南が換金して持ってくるまでの一週間、互いの兵士ひとりを“人質”として交換するというものだった。たちまち話がまとまって緊張から解き放たれた6人は、酒とつまみを持ち寄って6億円の山分けの前祝いに興じるのだった。
かくしてチョヌが北の新兵、ヨンホが南の新兵に成りすまし、スパイ映画さながらの人質交換が行われた。それは素性がバレれば命が危うい危険な秘密作戦だったが、畜産学科出身のチョヌは北の食糧問題解決に貢献して英雄視され、ヨンホの妹である勝ち気でキュートな宣伝隊兵士ヨニ(パク・セワン)と急接近。一方、韓国軍の演習に参加したヨンホも、北の地雷を踏んだ兵士の命を救って一躍ヒーローとなった。
★ ★ ★
ところがその頃、当たりくじを換金する重大なミッションを背負い、監視所を抜け出して単身ソウルに向かったマンチョルが、極度のプレッシャーに錯乱して大騒動を引き起こしてしまう。さらに冷徹な北の保衛指導員がチョヌに不審を抱き、人質交換作戦は崩壊の危機に瀕していく。果たして南北の対立を超えて同盟関係を結び、思いがけない友情を育んできた6人の兵士は、一攫千金の夢を叶えることができるのか……。